10周年を迎えて

クローバープラスを立ち上げ、何とか10年を迎えることができました。これもこれもひとえに皆様のご支援の賜物と心より感謝しております。

会社設立にあたっては当時は珍しかった外資100%での法人として、なかなか思うように書類審査が通らず、周囲の人たちからは「ローカル」企業と組む合弁企業の方がすぐに進むのに、とアドバイスを受けました。しかしベトナムに関わってきてこれまでローカル企業との合弁のリスクを十分に理解しておりましたので、そこは頑なに外資100%にこだわりました。

結論として我々が扱う医療やヘルスケアという分野において、目先の利益ではなく、長期的なビジョンを持って取り組むという考えからすると、現地のローカル会社とそのビジョンが共有できたかというと、それはとても難しかっただろうと感じています。2〜3年は全く売れないかもしれない商品を扱う商社はそうありません。でも私たちはベトナム市場において、今後絶対に必要になるという確信からそれらを取り扱うという決断を下しています。その根底にあるのが、ベトナムの医療環境を少しでも改善していきたいという強い思いです。

ビジネスではあるけれど、お金だけが全てではありません。日本とベトナムの友好のために自分たちができることは何かを常に考えていきたい。

現状としてのベトナム市場はホップ、ステップ、ジャンプで言えば、ステップぐらいでしょう。まだまだそう大きくはありませんが飛躍の一歩まであともう少しというくらいにまで成長してきました。しかし地方と都市部の医療格差はまだまだ絶望的に大きく、全体的なボトムアップには程遠い現状です。次の10年は都市部の医療だけではなく、地方の環境改善に力を入れていきたいと考えます。

25年以上前、初めてベトナムを訪れた時のことを思い出します。中部の少数民族の村で子供たちに囲まれ手持ちのペンをプレゼントしました。それを受けとった少年はそのペンを自分の弟に渡していました。あの心優しい少年もきっと今頃は立派に成長し、結婚し、子供もいるかもしれません。ふと思うのは彼らがいる村には学校はありましたが、病院がなかったこと。彼らは今十分な医療環境のもとで生活できているだろうかと。

現実的にはそれはまだ十分ではないことは理解しています。だからこそ自分達がそれを変えていかなければいけないということを。

今日からまた新しい第一歩をスタートさせますが、常に初心を忘れることなく、また驕らず、謙虚な姿勢でベトナムと関わっていきたいと考えております。今後とも、これまで同様のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。

             クローバープラス代表 佐々木 英樹